天と地の守り人〈第3部〉新ヨゴ皇国編
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2011/05/28
- メディア: 文庫
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守り人シリーズ最終巻の「天と地の守り人」第3部新ヨゴ皇国編です。全10巻に渡る壮大な守り人シリーズがついに完結します。
チャグムと別れて一足先に新ヨゴ皇国に戻ったバルサは、タンダがタルシュ軍と戦うための草兵として送られたことを知り、戦場であるタラノ平野に向かいます。一方タンダは、新ヨゴ皇国よりも高度な軍事力を持つタルシュ軍との緒戦を迎え、否応なく戦の中に巻き込まれていきます。
カンバル王国とロタ王国の同盟を果たしたチャグムは、それぞれの国から一万五千ずつの兵士を率いて新ヨゴ皇国に入ります。第7巻「蒼路の旅人」で海へ飛び込んでから長く険しい旅の末、ついに新ヨゴ皇国へ帰還したチャグムでしたが、目の前に広がっていた光景は無残に焼かれた街や、砦に横たわる兵士たちの死体の山でした。それでもチャグムは自らを奮い起たせ、初陣に臨みます。
タルシュ帝国の侵攻と時を同じくして、ナユグに春が到来した影響で川が氾濫することを察知した呪術師トロガイは、危険を村々に知らせるために命をかけた大呪術「金の蜘蛛」を行います。星読博士のシュガもまた、国の存亡にかかわる災害と戦争を前に、帝を弑いてでも新ヨゴ皇国を存続させようとタルシュの内通者とともに計画を立てます。
それぞれの登場人物が苦難を乗り越えるために全力を尽くす姿は読んでいて胸を熱くします。戦場の描写も生々しく、タンダの不安や恐怖、チャグムの緊迫感が伝わってくるようです。特にタンダには衝撃的な出来事が待っています。個性的で魅力的な登場人物たちに加え、文化や政治が異なる国々が互いの利害を絡み合わせて進むストーリーは、まさに守り人シリーズの集大成といった内容です。
なお、「精霊の守り人」は2016年にNHKで実写ドラマ化されます。放送前に原作である本シリーズをぜひおすすめしたいと思います。