蒼路の旅人
- 作者: 上橋菜穂子
- 出版社/メーカー: 新潮社
- 発売日: 2010/07/28
- メディア: 文庫
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守り人シリーズ第7巻の「蒼路の旅人」です。タイトルが「旅人」となっていることからもわかるとおり、第4巻の「虚空の旅人」と同様にチャグムを中心とした物語です。
「虚空の旅人」で訪問したサンガル王国から戻ったチャグムは、新ヨゴ皇国で皇太子として過ごしていましたが、相変わらず帝から疎まれていました。そんなある日、サンガル王国から新ヨゴ皇国に親書が届きます。それは、サンガル王国がタルシュ帝国から攻められ苦戦しており、援軍を求めるという内容でした。これに対してチャグムはロタ王国やカンバル王国と同盟を結んで対処するよう進言しましたが、帝はこれを拒否し、援軍を送ることを決めてしまいます。その後もこの決定について帝と対立したチャグムは、遂には援軍の船団へ送られることとなってしまいます。これはチャグムにとって死を覚悟しなければならないものでした。
チャグムを乗せた新ヨゴ皇国の船団は、サンガル王国の司令官と合流します。ところが、サンガル王国はすでにタルシュ帝国に服従し、新ヨゴ皇国の攻略に手を貸せば自治権を保障するという申し出を受け入れていました。サンガル王国からの親書は罠だったのです。チャグムや船員たちはサンガル王国の捕虜となってしまいます。虜囚小屋に閉じ込められたチャグムたちは脱走を企てますが、ここからチャグムにとって思いがけない展開が待っています。タルシュ帝国の密偵ヒュウゴの計画が進んでいたのです。
「蒼路の旅人」は「虚空の旅人」の続編と言えるでしょう。「虚空の旅人」で新ヨゴ皇国とサンガル王国の地理的、政治的関係性、強大な軍事力を持つタルシュ帝国の存在が描かれ、「蒼路の旅人」ではそのタルシュ帝国の影がチャグムへ、そして新ヨゴ皇国へと伸びていきます。ここから物語は、いくつもの国を巻き込む壮大な最終シリーズである「天と地の守り人」三部作へと続きます。